宮部 みゆき『黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続』の感想・レビュー一覧です。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。読書メーターに投稿された約661件 の感想・レビューで本の評判を確認、読書記録を管理することもできます。 せつなくて怖いお話が満載! 宮部みゆきさんの人気時代劇シリーズ「三島屋変調百物語(みしまやへんちょうひゃくものがたり)」の5巻の紹介をします。, このシリーズは厳密にはミステリー小説ではないのですが、宮部さんはミステリーも書かれますし、百物語の中で謎や不思議を扱っているので今回のご紹介となりました。, 舞台は江戸時代ですが、とても読みやすくて、本自体は厚いのにあっという間に全ての物語を読み終えてしまうのです。, 固く封じ込めたはずのわだかまりが、どこまでも追いかけてくる。一歩を踏みだすために、人は胸につかえる秘事を吐き出し心の重荷をそっと下ろす。「語ってしまえば、消えますよ」「BOOK」データベースより, 「どんぶり屋」という飯屋の主人<平吉>は、女房が願掛けのために「塩断ち」を宣言したことから、温厚な彼が我を失うほど怒り狂ってしまった。なぜなら平吉には、幼いころ家族が塩断ちをしたことで生家が潰えてしまうという凄惨な過去があった。, 塩断ちをしたことで「行き違い神」を家に招き入れてしまい、結果、家族に次々と不幸が襲い掛かってきます。運よく幼い平吉だけは生き残りますが、一度不幸の歯車が回り始めると行きつく所まで止まらない怖さがありました。, 百物語の中には、救いのある話と救いのない話があるのですが、こちらは救いがない方でした。一家まるごと断絶は久々です。, 三島屋の次男・富次郎がおちかと一緒に変わり百物語に聞き手となり、聞いた話を一枚の絵に表すようになります。このエピソードが表題に繋がっていきました。, あやかしを呼び寄せるという「もんも声」を持つ<おせい>が、ひょんなことからお城に住む声が出せないお姫様に仕えることになった。お姫様のお世話をするうちに彼女は、お城に住み着く影「一国様(いっこくさま)」の存在に気づいてしまう。一国様は、ある事情によって若くして非業の死を遂げた少年だった。, 凄惨な一話目の「開けずの間」から一転、こちらはホッとするようなお話です。あやかしを呼び寄せる声の持ち主、という設定なのでおどろおどろしいものかと覚悟して読み始めましたが、語り手の<おせい>さんのキャラがお茶目で、人から忌避されるような能力(もんも声)の持ち主でありながら悲壮感がまったくないところが、物語を明るいものにしてくれます。, 一国様の死にはお家騒動が絡んでくるのですが、それが何とも言えず悲しい気持ちにさせられました。おせいさんの頑張りのおかげで、一国様にも希望が持てるラストになったと思います。, 手癖の悪い少女<お種>が一年間の契約で奉公にあがった先は、災いをもたらすお面と、その面の番人をする屋敷だった。結局年季明けを待たず解雇されてしまったお種の語る奇妙な話。, 手癖の悪い少女が語り手、という時点でちょっと私の中で拒否反応があったのか、実はあまり印象には残っていないお話です。お面が自らの意思をもって人に話しかけてくる、唆してくるのはじゅうぶん怪異なのですが、それほど怖い話ではありませんでした。, 三島屋に出入りしている貸本屋「瓢箪古堂(ひょうたんこどう)」の若旦那<勘一>が語る、読んではいけない冊子にまつわる話と、そっくりな顔をした男6人と結婚した老女の話の2本立て。, 表題作ということもあり、好きな話は「だんまり姫」ですが、一番印象に残ったのはこの百物語でした。生活費を稼ぐために書物の複製業(写本/昔はコピー機がないので手で書き写していた)をしていた浪人・栫井(かこい)が「読んではいけない本」の写本を引き受けた話と、その後が語られます。, 写本をするということは、その本を読むということです。読んではいけない本には何が書いてあったのか、写本を終えた栫井の気迫がこちらにも伝わってきます。壮絶です。たしかに読んではいけない本でした。, この栫井のその後を聞いたおちかは、瓢箪古堂の勘一に告白をするのですが、なんだか唐突すぎて「彼女が勘一に恋心を抱くようなエピソードはあったかな?」と首をかしげてしまいました。メインストーリーが壮絶でそちらに気持ちが入っていたせいか、おちかと勘一の関係にはまるで気が付きませんでした。, そして富次郎が書き溜めた百物語の絵を収納する箱に、「あやかし草紙」と名前が付けられました。ここで富次郎に主軸が移ったような感じです。, 奉公先から一時帰宅した三島屋の長男<伊一郎>が、弟の富次郎を聞き手に据えて語る、幼いころに経験した小さなふわふわしたものにまつわる不思議なお話。, おちかの祝言のために奉公先から戻ってきた長兄が、お酒を酌み交わしながら兄弟で語り合うという体のお話。猫だと思っていたものが実は違ったと後で分かります。聞き手を務める主人公が富次郎になりました。, その後おちかはあっさりと勘一の元へ嫁いでいってしまい、おちかが以前宣戦布告をした「謎の商人」らしき人が富次郎に挨拶にやってくることから、百物語の主人公が名実ともにおちかから富次郎へと引き継がれたようです。, 三島屋シリーズは、5冊で27個の百物語が語られました。約1/3ほど物語が集まったところで主役交代。第一期完結とあるので、次からは三島屋の次男・富次郎が聞き手となった百物語が続くのでしょう。少し寂しい気もしますが、悲しい過去を持つおちかが自力で幸せを掴むことができたので、それはそれで良かったです。, 宮部みゆきさんの「三島屋シリーズ」3冊目のあらすじと感想をまとめました。百物語とひとくくりにはできないくらい幅広いジャンルの話が、今回も盛り込まれていて満足の一冊です。. 江戸で人気の袋物屋である三島屋で行われている〈変わり百物語〉。「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」をルールに「黒白の間」と名づけられた座敷を訪れた客が、聞き手だけに胸にしまってきた怖い話、不思議な話を語っていく連作短編集です。. 白勝て!(運動会 )  / ~  紅組がんばれ!vs.

ある日おちかは、深考塾の若先生・青野利一郎から「紫陽花屋敷」の話を聞く。それは、暗獣“くろすけ”にまつわる切ない物語であった。人を恋いながら人のそばでは生きられない“くろすけ”とは―。三島屋シリーズ第2弾! 白組がんばれ!(紅白歌合戦)。 〜 赤と青、「赤虎」の怪。. (「BOOK」データベースより), 宮部みゆきの「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」 「おそろし」でご紹介した“三島屋変調百物語”シリーズの6作目。, 9月から連載は始まってますが、流れ的には連作短編と同じような形式です。 黒白の間にやってくる到来客の聞き語りを、数珠繋ぎにつなげるように話は進んでおります。, 2018/11/18現在では、豆腐の話と桜の話がおわり、ここから次の話がはじまるところ。 途中から読んでも問題ないので、さあ!今すぐに毎日新聞の購読申し込みを致しませよ!, 『新聞連載が終わる前にシリーズ第五目まで追いつこうキャンペーン』第二弾は、くろすけがチョー愛らしい「あんじゅう」でございます。, ——なあ、くろすけよ。 寂しいか。私も寂しい。 おまえはまた独りになってしまう。この広い屋敷に、独りで住まうことになる。 だが、くろすけ。同じ孤独でも、それは、私と初音がおまえと出会う前とは違う。 私はおまえを忘れない。初音もおまえを忘れない。 遠く離れ、別々に暮らそうと、いつもおまえのことを思っている。月が昇れば、ああこの月を、くろすけも眺めているだろうなと思う。くろすけは歌っているかなと思う。花が咲けば、くろすけは花の中で遊んでいるだろうかと思う。雨が降れば、くろすけは屋敷のどこでこの雨脚を眺めているだろうかと思う。 なあ、くろすけよ。おまえは再び孤独になる。だが、もう独りぼっちではない。私と初音は、おまえがここにいることを知っているのだから。, 前回「おそろし」のラストでは、主人公おちかちゃんがプリキュアオールスターズのクライマックスのように戦って、ラスボスを倒して問題は解決に至ったはず。 過去のトラウマに苦しめられていたおちかちゃんの心にも、安寧が訪れていた筈でした。, おちかちゃんの心を癒すために始められた『変わり百物語』の必要もなくなった筈。 ですが、どうしてまだ百物語は続けられるのでしょう?, 「続けるに決まっているじゃないか。いったいいつ、私が言いましたかね。おちか、変わり百物語はもうやめだよ、などと」 だって——と、おちかは少しくちびるをとがらせた。 「この二月でおまえが聞き取ったお話は、たったの五つだよ。それも、おまえ本人の話まで勘定に入れてだ。百まで、あといくつ足りないとお思いだね」, おちかの叔父さんはこう申しておりますが、100の聞き語りが終了するまでに、あと何年かかるとお思いでしょうか? 終了時にはおちかちゃん何歳だ…という心配が無用であったことは、おちかちゃんが嫁に行って聞き役が代替わりしたことが今では分かっておりますが。 「あんじゅう」の出版当時は読者の皆さんもおちかちゃん自身も、まだ分かっておりませぬ。, 前作で聞いた(もしくは語った)百物語は、まだ100のうちたったの5。 あと95人。先は長い。道のりは天竺よりも遠い。 おちかちゃん、友達100人、できるかな?, 「あんじゅう 三島屋変調百物語事続」には4つの短編が収められております。 この本の中には、お勝さん新登場!とか、恋のライバル青野先生出現!?とか、語りたいポイントはいろいろありますが、どうしても外せないのは『暗獣』でしょう。, そのとき。 寝所と縁側を仕切る障子の陰から、へろりと闇がはみ出した。はみ出したとしか言い様がない。寝所の暗がりよりなお暗いものが、そこに隠れている。 頭上で稲妻が光った。, 可愛いよ~!くろすけ可愛いよ~! あれですね。白かろうと黒かろうと、丸っちくってポワポワしてて、言語がうまく発せない存在ってのは、人間のカワイイ欲求に訴求しますね。 宮部みゆきさん、ズバンとドストレートで人のカワイイ心を打ってきます。, ——人だ。 ——わあ、人が来た。 ——ここに住んでくれる人が来た。 無人の屋敷のなか、静寂と暗闇から生まれ、静寂と暗闇しか知らなかった<くろすけ>は、さぞ嬉しかったことだろう。, くろすけが住み着いていた化け物屋敷は、百物語の語り手が語っている時点では、もう焼け落ちて残っていません。 で、どうして屋敷が焼け落ちてしまったのか…を聞くと、さらに化け物=くろすけの愛らしさと切なさが増してくるわけです。 まさに『恋しさとせつなさと心強さと』篠原涼子 with t.komuro!, 暗獣の可愛さは、上野動物園シャンシャンのアカンボ時代に似たり。 人間のカワイイ欲求をドストレートで訴求されて、グラッチェグラッチェタマランチーアですよ宮部さん。.